ふどうちんか【不同沈下】

 不陸のこと。町家の柱の載る基礎は一つ石か延べ石で、年間06mm程度の沈下を伴う。しかし基礎の沈下は一様ではなく、柱のレベルがバラバラになった状態をいう。一般的には大黒柱、小黒柱の地業が入念にされており、それを中心に放射状に沈下が進む場合が多い。
 逆に大黒柱、小黒柱が下っている場合は、トオリニワの排水が漏れていることがほとんど。近年では、隣地の建替えの際の掘削で側柱の基礎が大きく沈むこともある。
 不動沈下自体は町家の構造の問題ではなく、町家が建てられた時からプログラムされており、柱の上げ前や基礎の据え直しが容易に行えるのが町家の構造の優れた特徴である。